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DNA鑑定学会 特定非営利活動法人(寄付受付指定機関)
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品種識別DNA鑑定研究開発のあり方
H22.3.23
DNA鑑定学会 妥当性委員会

【研究開発】
  DNA鑑定に使用するDNAマーカーの開発方針
    1. 基本的なアプローチはDNA鑑定を用いて、社会問題の解決に貢献する。
      (1) 育成者から育成者権のクレーム
      (2) 税関での偽装申請など
    2. 目的に応じた鑑定用のDNAマーカーを開発する必要がある。
    3. DNAマーカーは学術の目的でなく、社会問題の解決に用いる実用化を前提に開発する。
    4. 実用化には以下の条件を設けて開発する必要がある。
      (1) 品種を決定するための基準品種株を決めてマーカーの開発をする。
      (2) マーカーの精度は計測器の精度(マージン幅)を考慮して決める。
      (3) 簡易検査と精密検査の2段階検査ができる方式とする。
      (4) 開発終了時に再現性試験や自己検証を実施する。
      (5) 誰が検査しても同じ結果のでる品種識別マニュアルを作成する。

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【妥当性試験】
   社会問題が生じたとき、問題解決に使用できるDNA鑑定であるか等の判別能力をもとめる。また、検査会社など不特定多数が使用しても同一の結果が得られる手法(識別マニュアル)であるかについて評価する。
    1. 妥当性とは、開発したDNAマーカーの信頼性を評価するものである。
    2. 評価結果は、100%の信頼性を要求するものではなく、スクリーニングや品種検査など目的に応じて利用するための判断にするものである。
    3. 評価の実施は、以下の条件を守る。
      (1) 中立的な評価を得るためには、開発した機関と評価する機関が同一機関であってはならない。
      (2) 評価用の試料株は、実用化を前提に選定して評価する。
    4. 妥当性を実施した機関が、スクリーニング検査や品種検査など社会的なDNA鑑定の品質責任機関となる。
    5. 責任機関は、社会問題が発生し妥当性を追求されても、問題ない状況下で妥当性試験を実施したことを証明できるようにしておく。
    6. 妥当性試験の品質保証には、規則書などを設けて実施することが不可欠である。

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【現状の課題】
    1. DNAマーカーを開発するための株や妥当性を検証するための株が定義されていないため、以下の問題が生じている。
      (1) どこに何の株が管理されているか情報が一元化されていない。
      (2) 学術要素の強いジーンバンクと県などで管理する品種株など、株が多くの機関で管理されている。
      (3) DNAマーカーの開発時、大半の研究者は各研究室にある学術株をベースに開発している。
      (4) DNA鑑定の結果、生産者の品種が違うと判定された場合、誰のためのDNA鑑定であるかと社会問題になる。
       これらの問題を解決するためには、行政主導で、どこに何の品種が管理されているかなどの情報をデータベース化する必要がある。そうすれば、一元化して基準株や品種が定義できるため、品質の良いDNAマーカーを開発することができ、別の株でマーカー開発をやり直すなどの研究の二重投資を避けることができる。
     
    株の種類と定義
    株のタイプ 内容
    学術株 学術資源としての株
    基準株 品種の基準となっている株
    生産者株 生産者が商品を生産している株
    一般株 スーパーなど流通で売られている流通株

    2. 商品は毎年生産されるため、毎年、品種識別マーカーのチェックをおこなう必要がある。また、小麦などは、前年度の生産ロットとDNA鑑定が異なるケースも考えられるため、年産ごとに一定期間保管しておき、その年の生産物と比較してDNA鑑定を行うなど、新たな研究アプローチも必要である。

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